児童画展


尋常小学校1年生の作品。題名:人物

祖父は、若い頃は東京で絵の勉強をしており、川端龍子にも師事していたようだ。8人兄弟の末っ子であったのに、家督を継ぐ事になり、故郷に戻り、村の小さな分教場の教師をしていた。その時、教えていた子供たちの絵が児童画集として残されていた。昭和初期、70年前の事だ。山本鼎の「自由児童画」に共鳴していたとも聞いた。この児童画集には祖父の言葉が添えてある。

「胴もなく 首から手が出 足が出て それでも 矢張 おどってるゑだ。
 苦もなく 小さな手から生まれるゑ みんな真実だ。
 出来る 出来る 手ふり 首ふり 足あげて ペーパーの上でみなおどって
 いる。
 色彩も形もまるで無茶のよで にくらしいほど どれも生きてる。(後略)

ゑは全部で80枚程あった。今回、叔父がそれを、村にある、「ギャラリー創」というところで児童画展として公開した。一枚一枚見ていくうちに、祖父が子供たちを、とても真摯に指導していたのだなと感じた。それは、ただ勝手に描かせたのではなく、自由に描かせながらも表現することの面白さと豊かさを感じさせようとした、祖父の考えが見てとれたからだ。孫の僕は、夏休みの時しか、祖父と過ごす機会は無かったが、とにかく、いつも叱られていた記憶ばかり。叱られて土蔵によく閉じ込められた。絵を教わった事もない。覚えているのは、僕が昆虫が好きだと言うと、蛾と蝶の違いが判るか?と聞いてきて。絵で説明しろ。と言われて、描いて見せたら。フン、こんなになっているものか。と言われたことしかない。出来の悪い孫だったからだと、今になって、いい年こいて、ちょっと僻んだ。


尋常小学校4年生女子の作品。題名:少女

児童画展の様子