トンタン

MICHIYA2005-09-05

まだ残暑は厳しいが、陽も少しずつ短くなってきているのを感じると、陽の暮れる向こうからシチューの香りが漂ってきて、その香りを手繰っていけば、そこには怒涛の秋の味覚があるはずだ。秋の夜長は五徳の前に椅子置いて、ワイン片手に煮込みだな。と思ってみてもBSEの影響で牛タンなどはすっかり高くなってしまい、大好きなダッチオーブン料理の定番、牛タンのワイン煮も作れないじゃないか。普通に口に入る物を食べていればイイ。それはポリシーだ。牛タンなんか忘れてやる。などと思いながら、フラフラとヴィコに向かった。最近はもっぱら1階のバールで飲んでから、気が向くと2階のリストランテ(トラットリア デル ヴィコは、バール付きリストランテだとぼくは勝手に解釈しています)で食事をする。9月になったのでメニューも変わっているだろう。ヴィコに入って、カウンター越しに厨房を覗くと、見たことあるような感じだが、見たことの無い肉がチーズを載せてお皿にあった。明らかにオードブルだ。シェフに聞くとタンである。しかも豚。食べたことは無い。ギュータンならぬトンタンか。トンタンと呼ぶかどうかはさておいて、豚の舌である。柔らかくボイルしたトンタンの上には刻んだ赤玉ネギ、それを覆い隠すように薄く切ったパルミジャーノ。これは食べたい。普通に口に入る物を食べていればイイ・・・けれど、食べたことの無いものは食べたいぞ。ポリシーって信念とは違うようだ。(お皿の下の雑誌の写真はシチリアの赤ニンニク)