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広島の親戚からもらった牡蠣がまだ残っているので、今度はトマトソース仕立てにした。オリーブオイルにニンニクの香りを移した後、牡蠣をソテー、赤ワイン(昨晩飲んでいたのの残り)を少し振って硬くなる前に取り出し、そこへ刻んだ玉ねぎを投入。アメ色になるまで炒めたらホールトマトを入れて煮込む。時折味見をして牡蠣の味がちゃんと移ってるじゃないか!などと自己満足しながら、その間にパスタを茹でる。パスタの茹で汁をソースに加えてソースがまろやかになじむように念じる。勝手な思い込みだが、塩を振るより、茹で汁(茹で汁にはたっぷりの塩が入っているから)を入れた方がソースになじむような気がする。コショウも念じて振る。解凍した牡蠣を炒める前に洗いすぎると味がつまらなくなるから、適当にしといたおかげで、モシカシテー臭?ということも無きにしも非ず。そんなことは想定内だぜ、そのために香辛料があるんじゃねえか!とセージを入れてみる。これで、香りに奥行きが出たぜ!テメエ、トマトソースじゃセージは討ち死にじゃねえの?てなこと思いながらパスタは茹で上がりつつある。そこへ中一の娘登場。俺はな、このパスタすくいでパスタに触れるだけで茹で具合が判るんだぜ。と即座に自慢。そんなの誰でも判るわよと娘、反論。じゃあどうだ?まだまだ。これは?まだまだ。とかアホなことやっているうちに少し茹で過ぎた。慌ててソースの鍋に移して、ソテーしておいた牡蠣の身も戻して出来上がり。お皿に盛ってパルメザンチーズを摩り下ろす。牡蠣の豊かなエキスが玉ねぎの甘みと相まって、味の土台を作り、それをトマトとオリーブオイルが包み込んで、ソースが出来上がり、そのソースに包まれたパスタと牡蠣の身が舌の上で芳醇な香りを鼻腔へ抜きながら踊るんだぜ。判るかー!しかも摩り下ろしパルメジャーノの特典付だ!!!などと力説してみたところで詮無き事。ペロッと平らげてくれればそれで良し。