お釜

MICHIYA2006-03-18

写真は電気店で待たされ飽きてマッサージチェアで遊ぶ子供達。

電気炊飯器が壊れたので、新しいのを買いに電気店に行った。大型電気店を3店舗廻ったが我が家に必要な1升炊はあまり置いていない。我が家族8人なれど、大家族のうちには入らず、と思っていたが、世の大多数は5合半炊なのだ、ということを思い知らされた。つまり、この大電気店の商圏内には一升炊を必要とする消費者が少ないということであろうが、今や都市部に限らず、どこでも同じではないだろうか。ありがたいことに、それでもメーカーは大飯喰の核家族のためなのか、まだ一升炊を多くラインアップしている。ぼくは結局ネットで注文した。選んだのは象印の最新型圧力釜「極め炊」。7段圧力真空かまど釜、人工知能AI炊飯、薪火炊豪熱沸騰、おひつ保温、しかも蓋は油圧ダンパー。すごいスペック!これならもしかして物質瞬間転送機能もついているやもしれない。リモコンスイッチを押せば食卓のお茶碗にポンっ!と艶々のご飯が現れる。星新一もマッツァオの未来のお釜だ!と頭の中も豪熱沸騰機能で瞬間興奮したが、お米を研ぐ作業を思い出したら薪火炊豪熱も冷たい研ぎ汁をかけられて瞬間冷却されてしまった。あまりの高機能に惑わされ、日本人のアイデンティティ(身体(手)に記憶された、米を研ぐ行為)を一気に失ってしまうところであった。ヤバかった。しかしである、実際、使ってみると、これが実に旨く炊ける。壊れた5年前の炊飯器とは大違いである。今は無洗米もある、古い炊飯器など染み付いたアイデンティティと共に早く捨てて新しく購入すべきだ。保温機能もすばらしい。電気炊飯器万歳!と、また豪熱沸騰してしまったが。・・・だどもなあ。ついこの間まで、土鍋で炊飯を楽しんでいたし、鉄鍋(ダッチオーブン)で炊いたりもして、「これで鉄分もバッチリ摂れるぞー」「ご飯は研ぎと気候にあった水加減だよ」などと薀蓄を垂らしまくっていたのだ。片や家人は8人分の夕食と5人分の弁当を毎日作る。いちいち土鍋なんかでやってられるかよザケンナヨ状態だから、電気炊飯器は単に現実的必需品であった。土鍋の方が美味しく炊けたから、「うーん、ロハス。子供たちよ本当の美味しさとはこれだよ。」などと言い、家人には「食育が大切さ」と偉ぶっていたのだ。稼ぎは悪くともクールでナイスなダディを演じるアイテム、土鍋の存在はどうなるのか?耳を澄ますと、これでウザいウンチクを聞かずに心行くまで旨い飯をガッパガッパと食えるオヤジよりもデカイ長男を筆頭に、家人達の幸せな笑い声が聞こえてきた。
 (最新電気炊飯器はとにかく旨みが出るというか、旨みを強く引き出すようだ。味の風格ではまだまだ土鍋には・・・まだ言ってる)