コンビーフのマスカルポーネソース

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第20番目のパスタは写真のリングイーネではなく辛味の効いた砂糖入りトマトソース、ナマ煮えスパゲッティでなくてはならなかった。それは、この4月から小学校5年生になる末っ子が人生で最初に作った記念すべきパスタであーる。昼休み、いつものように仕事場から昼食をとるべく自宅に戻ると、春休みで家にいるユーヤがパスタを食べていた。「おっ!どうしたんだそのパスタ」と聞くと、もう絶対に忘れないほど印象的な切ない表情で応えた。何も言わない切なーい顔。黙って差し出す皿。一口食べると、ぼくの反応を確かめながら「お兄ちゃんに分けてもらったトマトソースなんだけど辛いんだよ」と言った。末っ子よ、お前はオモロカワイすぎる。と思う父(ワタクシ)。努めて落ち着いた声で「そうか、ソースが辛かったから砂糖いれたんだね」と答えた。「うん」と答えるその顔は、「辛いんだからサ、砂糖入れるのは絶対当たり前の事ジャン」といった表情である。あーオモロすぎると思いながら続いて麺を食べると、博多ラーメンで言うところのバリカタ。「麺硬いね」「うん」またも努めて落ち着いて、ここで笑ったらイケナイと堪えながら「今度から硬さを確かめながら茹でるといいよ。でも結構美味しいじゃん、自分でつくるなんて大したもんだよ。」と言って皿を返した。初めて作ったからなのか、誉められて思い直したのか返されたパスタを再び切なそうに食べているので、そっとしておいてやろうと静かにその場を立ち去ったのだが、不覚にも記念の写真を撮っておくことに気づかなかったのである。
 写真のパスタ。またもやワンパターンのマスカルポーネを使ったソースであるが、コンビーフにも合ったぜよ。でもオリーブオイルを加えながらコンビーフと合えるのが肝要です。
 今、アルゼンチンの「INCA]というカベルネ飲みながら、本日誕生日の下宿人の買ってきたミモレットと丸のままダッチオーブンに入れて、そのままオーブンで焼いたタケノコを一緒に食べているのだけれど、これはとっても美味しい組み合わせでありました。