65個のパプリカ

65パプリカ

去年は当日参加であったが、今年は前泊して、明日の仕込みを手伝った。ぼくの担当は「パプリカの肉詰めホワイトシチュー」である。これだけの量を作ることは普段ないから、すごく楽しみでワクワクしていた。主催者側でメニューも考え、食材の用意もしてくれてるので、ぼくは作るだけだから、とっても気が楽だ。楽しいところだけさせてもらって申し訳ない気持ち。そして、用意されたパプリカが、惚れ惚れするほど立派だったものだから、包丁を手に大量の食材の前で仁王立ちして、鼻の穴をおっぴろげながら、「フンガー!イザ参ろう」って感じだったはずだ。でもすぐにタマネギのみじん切りでショボショボ。刻んだ大タマネギは10個、これを大きなアルミの浅い鍋で丁寧に炒めて、そこへ下味をつけた牛のひき肉を3キロ投入。火が通ったら、パン粉を投入。これで具の出来上がり。これを65個のパプリカに詰めるのだが、ここで問題発生。見たところ具が少ない。パプリカが立派すぎるからだ。さあどうしよう。店はもう閉まっている。先ほどから大きな寸胴で立派な筍が煮えている。メンバーの一人が、千葉の館山から朝堀してリュックで担いできてくれた貴重な品である。煮ている糠も自家製である。というのは、筍を持ってきてくれた下石さんは棚田でお米を作っている人。本業のオリジナルTシャツのネット販売をしながら館山で田舎生活をしているという、なんとも羨ましくもすばらしい人である。ぼくは初対面であるが、その下石さんが久しぶりに会うメンバーのために、わざわざ持ってきてくれた筍である。これを刻んで具にしたら、旬の味覚と歯ざわりが加えられて具の量も増えて一石三丁の、なんてすばらしい一品になるのでしょうか。などと絶対に言えないよな。と思いながら筍の入った寸胴を睨み付けていたせいなのか、偶然同じ事を考えていたのかはワカラナイが、下石さんが、「筍入れたらいいんじゃない?」と発言。おかげで、明日のお客は素晴らしい筍がタップリ入ったパプリカの肉詰めホワイトシチューを堪能することになった。